物件の引渡しまでに売主がしておく準備とは

売買契約が無事に成立すると、ひと安心される方も多いでしょう。しかし、不動産売却は契約締結で終わりではありません。その先には「物件の引渡し」という重要な手続きが待っています。

引渡しまでの期間は、一般的に1か月前後となることが多いですが、その間にも売主が準備しなければならないことが数多くあります。スムーズに引渡しを完了するためにも、「何を準備するべきか」「手続きに漏れはないか」を事前に確認しておきましょう。

引越し準備とライフライン停止手続き

買主へ物件を引き渡すためには、原則として売主が退去し、引越しを完了している必要があります。

売買契約から引渡しまでの期間によっては余裕を持って準備できますが、春先の転勤シーズンや進学シーズンなどは引越し業者の予約が取りづらくなることもあります。特に長野県では、地域によって引越し業者の数が限られる場合もあるため、引渡し日が決まったら早めに手配を進めることが大切です。

また、引越し後は空き家になるため、電気や水道、ガスなどのライフラインをすぐに停止しても問題ないと思われるかもしれません。しかし実際には、引渡しまでの間に最終確認や清掃などで物件を訪れる機会があります。

特に電気は、曇天の日や夕方以降の室内確認に必要になりますし、水道も清掃や設備確認の際に使用することがあります。そのため、ライフラインの停止日は引渡し日に設定するのが一般的です。

停止手続きについては、引渡し予定日の1週間ほど前までに各事業者へ連絡しておくと安心です。ただし、申込み方法や料金精算の仕組みは電気・ガス・水道それぞれ異なりますので、事前に確認しておきましょう。

判断に迷う場合は、担当する不動産会社へ相談しながら進めることをおすすめします。

物件の最終確認

住宅設備や付帯設備については、引渡し前に最終的な動作確認を行います。

エアコンや給湯器、照明設備、換気設備など、契約内容に含まれている設備が正常に作動するか、一つひとつ丁寧に確認しておきましょう。

万が一、契約内容と異なる状態で引渡しを行った場合、後日修理や交換などの対応を求められる可能性があります。そのため、引渡し前には買主立会いのもとで再確認を行うことが一般的です。

確認時には、契約内容に基づいたチェックリストを活用し、双方で内容を確認しておくと安心です。最終確認の記録を残しておくことで、引渡し後のトラブル防止にもつながります。

また、一戸建てや土地の売却では境界の確認も重要なポイントです。

隣接地との境界が明確になっていない場合、引渡し時に問題となる可能性があります。境界を明示できないままでは売買手続きが進められず、状況によっては契約解除や損害賠償につながるケースもあります。

長野県では、広い土地や古くからの住宅地も多く、境界が曖昧なままになっているケースも少なくありません。境界が不明確な場合は、土地家屋調査士へ依頼し、「境界確定測量」を実施しておくと安心です。

さらに、引渡しまでに必ず準備しておきたいのが「権利証」です。

一般的に権利証と呼ばれるものは、不動産の所有者であることを証明する重要な書類です。現在は「登記識別情報通知」と呼ばれる書類が発行されていますが、以前に取得した不動産の場合は「登記済証」を保管しているケースもあります。

これらの書類は所有権移転登記に必要となるため、引渡し前に保管場所を確認し、すぐに提出できる状態にしておきましょう。

決済〜引渡しの流れと準備について

物件の引渡し前には、まず売買代金の決済が行われます。

決済当日は、売主・買主に加え、不動産会社の担当者、金融機関担当者、司法書士など関係者が集まり、必要書類や手続き内容を確認します。

住宅ローンを利用する買主が多いため、決済場所は金融機関の応接室や会議室が利用されることが一般的です。

当日は、登記に必要な書類や本人確認書類、印鑑などがすべて揃っているか確認された後、残代金の支払いと融資実行が行われます。

必要書類が一つでも不足していると決済が延期になる可能性もありますので、事前に準備するものを確認し、余裕を持って用意しておくことが重要です。

売買代金の入金確認後は領収書を発行し、不動産会社への仲介手数料や司法書士への報酬、固定資産税・都市計画税の日割り精算などを行います。

決済完了後、司法書士は速やかに所有権移転登記の申請手続きを進めます。

そして、お金や書類の確認がすべて完了したら、最後に住宅の鍵を買主へ引き渡します。これをもって正式な引渡し完了となります。

決済や引渡し当日は、不動産会社や司法書士が手順を案内してくれるため、過度に心配する必要はありません。しかし、必要書類や各種準備については売主自身の責任となります。

スムーズな引渡しを実現するためにも、事前準備をしっかり行い、余裕を持って当日を迎えるようにしましょう。